日本人がラップ?驚くのはまだ早い。 日本は世界中を見ても、かなりラップカルチャーが根付いている国のひとつだという事をあなたはご存じだろうか?。大きな事の始まりはたぶんにRUNDMCの1stアルバムが東京に投下された瞬間だろう。それ以前のラップを聴いていた人々もいたには違いないが、RUNDMCの出現はこの東洋の国ではショッキングにとらえられた(コアなラップファンでは無い私にも)。

しかしそれでも流行に敏感な一部分の人々が聞く音楽、という程度ではあったが…。しかしその後、ご存じの通りこの愛すべきフォーマットは、遠く離れた日本に伝わりまた独自の進化をとげている。すばらしい事だ。DJの聖地となった東京の渋谷はここに無いレコードは無いと言われる程、世界中からかなりの量のレアな音源が集まってくるぐらいになった。(そこかわり非常に高価だったようだが…)世界中のDJからみればそれは宝の山であっただろう。アメリカで見つからないレア盤をアメリカのDJが渋谷で見つけ狂喜乱舞するという光景もちらほらと繰り広げられたようだ?(その踊りを実際には見ていない…)。今回紹介するロボ宙はその渋谷をホームとして活動を続けてきたラッパーだ。

はじめにことわっておくが彼は人間では無い…「ロボット」だ。彼は一環してそれを主張し続けている。非常に多い彼についての逸話をここで全部紹介するのは不可能だが、彼の体が金属で出来ている事を証明した逸話をお教えしよう。友達達数人と雑談していた彼。そして雑談も終わり彼は立ち上がった。その瞬間、何か金属質のものが音をたてて床に落ちた。それは何かの「鍵」であった。友人が指摘した「ロボさん、鍵が落ちたよ。」それを拾ってロボ宙が一言「いや、オレの鍵じゃない」 友人「だってロボさんから落ちたよ」ロボ「いやオレはこんな鍵は知らない…」ということは…そう鍵はまさに異空間から分子として「ロボット」の体に入り最新ペンティアム×460000倍の速さでそれがもう一度、物質となってなって表れたものに違いない。それ以来、まわりの友人は彼を「ロボット」だと信じるようになった。日本では「ロボット」がラップをやっている。凄い国だろ?
ロボ宙のラップのスキルやスタイルは最先端でもなければ、超絶でもないがとても聞いていてイメジネーションが膨らむ。スタイルに捕らわれることなく、独自の道で進化してきており、非常に風通しの良い音楽を作ってきている.。日本製ロボットはイマジネーションが完璧にプログラムされている。

ラップを始めたのは?
「21歳ぐらいだと思う。最初はやっぱりRUNDMCでラップを知って、自分でやり始めたのはビースティボーイズの1stが出た頃」
その頃日本のラップシーンみたいな物はあった?
「ない、ないNEWWAVEとか新しい音楽が好きな連中が食いついてきたぐらいで、ましてや自分でラップするやつなんて得に大阪には居なかった。もうやってるだけで凄い!っていう世界(笑)。正に見よう見マネ」

彼は当時、大阪に住んでおりラップをはじめる前はお笑い系の劇団などもやっていた。また補足だが大阪は日本の中でも得にお笑いが人々に浸透している地域でもある。彼はその後、その劇団の中でPUBLIC ENEMYのシャツを着た変わった男」ことKING3LDKと、もうひとのMCを加えた3人でDASSEN3として活動をはじめる。そのユニットも大阪ならではのお笑いとHIPHOPの境界を自由に飛び越えるグループであった。(今は活動休止中)
「何がHIPHOPなんかも良く意識していなかった。その後にだんだんとHIPHOPのすばらしさに気付いて一気にハマった。あと、もう在り方のすべてが新しかったしね」
日本語によるラップの創世記、かなり手探りと実験の繰り返しだったに違いない。
一般論として日本語は英語などと比べてリズムに載せにくいといわれているがそこら辺の意識はどうだろう?

「実はあんま日本語は意識していない」
「リリックは自分の普段しゃべっている言葉かといわれればそうでもない、
かといって全くの文語かといわれればそうではない。自分でもよくわからないが、リズムに載せる過程でその中間みたいな言葉を、自然と探しているみたいだ。」

彼のリリックは明確なメッセージが分かりやすい形で表現されているわけではない。
どちらかというと、あるイメージの様々な単語を連呼する事により、聴いている側をおのおのの好きな場所に導いていくという類のものだ。日本語はもともと1つの事象について様々な表現があるという言葉であるが、その逆に一つの言葉でいろいろな「微妙」な意味合いを含むという特性もある。例えば「縁(えん)」という言葉は英訳すると、いろいろな単語にに訳されるが、どれも完璧には「縁」を表してはいない。そべてを含み、すべての中間であるような表現が「縁」なのであるが、たとえば日本人でもこの言葉について10人に聞いたら10通りの答えが返ってくるだろう。つまりそれはかなり感覚的な言葉なのだ。
彼はその日本語の特性を最大限に生かした、日本語独自のスタイルを発明した。

「最近やっと日本語でのラップの作り方がわかってきた」

「でもやっぱり作る時の決め手となるのは、自分が実際ラップして気持ち良いかどうか。
それは作る段階から客の前でラップする事を想定してる。そこで一体どんな言葉をラップしたら、自分と相手が気持ち良くなれるか、そこが自分にとって最重要だし、実はその点が周りのラッパーと違うところだと思う。そしてステージでは常に問題を投げかけているつもり、つまりオレはこういう人間だけど、君は一体どういう人間なんですか?って そのコミュケーションが最高に楽しい」

ではここで話を彼自身からシーン全体に広げて聞いてみよう。
手探りで始まった日本語ラップは今やいろいろなスタイルに細分化されてきた。

「日本にはオーソドックスなラップをやる層がない、凄いフリーなスタイルをやる層か、または、今の流行りのスタイルをやる層のどちらか。」
「もうちょっとフレキシブルでも良いと思うけど、その原因は日本人の根っこにある「オタク気質」も関係していると思う。狭い範囲の中で深くガッツリ聞くという感じ。でもその深く聞く事については言葉のハンデはあるにせよ他の国と比べて退けをとっていないと思う。つまりラップファンというよりラップ中毒が多い」
また
「レコード屋のレコード棚のカテゴライズのされ方も日本は非常に細分化されている。そういうの見てもつくづく日本人はオタクだと思う(笑) でもそういうのは悪いとは思わない」

それではまたロボ宙自身に話しを戻そう。
「これからも色んな人たちと積極的に交わっていくつもり、んで作品を一杯出す」
「まぁこれ以上、ラップも上手くならなそうだし(笑)、でも今ぐらいで充分って気もする」

ロボ宙は話を聞いている時点で2005年度以内に新作を録音する予定だそうだ。

「いろんなシチュエーションで聞いてくれるとうれしい、自分の音楽がいろんなシーンにはまっている事を想像するとワクワクする それが一番のモチベーションとなっている」

新作はどんなものになるかは知らないが、トラックも含め全部一人で作った曲も作る予定だという事だ。
宅録ロボ宙。
実は彼も愛すべき音楽オタクなのは間違いない。